島唐辛子を使った調味料づくり

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大島高校の公開講座へ

都立大島高校の公開講座『農林科で考えよう伊豆大島の魅力と地域ブランド』の第2回目の講座『島唐辛子を使った食品製造』に参加してきました。今回は講座を通じて知ったことはもちろん、講座の主役であり伊豆大島では身近な食材である「島唐辛子」のことなどをご紹介したいと思います。

島唐辛子について

この島唐辛子、伊豆大島では唐辛子の辛みを効かせた醤油に白身魚を漬けた『べっこう』と呼ばれる郷土料理をはじめ、お刺身の醤油の辛味付けに使うなど身近な食材で、ご家庭で栽培されている方も多くいらっしゃいます。

今回の主役である島唐辛子ですが、いつ頃から栽培がはじまったのか定かではありませんが、火山島である伊豆大島は火山灰土壌の水はけのよい土地の為、唐辛子の栽培に適しており、昔からよく栽培されていたようです。

伊豆大島の唐辛子は日本の代表的な品種である「鷹の爪」系の唐辛子で、島内で育った種を代々受け継いで育ててきました。その為、次第に伊豆大島の気候や土壌に適応し、小さくて辛みが強い特徴ある唐辛子になったと聞いたことがあります。

島高ラー油を作る

そんな島唐辛子を使って、今回の講座ではラー油を作ります。

このラー油、大島高校では『島高ラー油』の名前で商品化・販売されています。過去には(株)高島屋のお歳暮ギフトとして全国に販売展開されたこともありました。

この『島高ラー油』、大島高校産の島唐辛子を乾燥粉末にして、ごま油に浸して熟成させたオリジナルラー油で、 非加熱製法なので過酸化物価が低く、幅広く使用できるのが特徴の使い勝手の良いラー油です。

次に今回の講座で教えていただいた作り方についてご紹介します。

島唐辛子を栽培する

島唐辛子の種まきは2月下旬から3月上旬に行います。約2か月間の育苗期間を経て、5月上旬に定植し、7月頃から安定した量を収穫できます。大島高校農林科では毎年4月に実施する「農林科苗販売会」にて唐辛子の苗を販売しているそうです。

唐辛子を乾燥させ、粉末にする

辛みと旨みを凝縮させるために、収穫した唐辛子を天日で2週間以上乾燥させます。

今回は最終仕上げの作業として、唐辛子を電子レンジで加熱して水分を飛ばす作業を行いました。電子レンジのタイマーの設定は重要で、30秒程度が良いそうです。あまりやり過ぎると唐辛子が加熱されて味に影響が出てしまいます。とにかく唐辛子の水分を飛ばすことが美味しいラー油作りのポイントなのだそうです。

作業を開始すると、たちまち部屋中に唐辛子の香りが充満し、中には咳込んだり、クシャミをする参加者も。それだけ強烈な辛みと風味を持った唐辛子なのです。その後、フードプロセッサで粉末状にしていきます。

私もこのあたりから、鼻の中がムズムズしてきました。(笑)

ごま油と混ぜ合わせ、漬け込む

粉末状にした唐辛子を、ごま油に漬け込みます。

漬け込む時間は1週間〜2週間程度。じっくり漬け込んで熟成させていきます。大島高校ではこれに椿油を加えて「椿油入り島高ラー油」として販売することもあるそうです。

上澄みをろ過し、瓶に充填する

今回は公開講座ということで、さすがに何週間も待てないということで、あらかじめ熟成させてあったものを使って次の工程「瓶への充填作業」を行いました。

沈殿した粉末唐辛子を攪拌させないように上澄みをすくって、ザルの上に敷いたキッチンペーパーなどでろ過します。

ろ過する理由は、瓶に充填した際にラー油の濁りをなくすためのものだそうで、ろ過の工程を省いても味に違いはないそうです。が、綺麗に澄んだ美しいラー油をつくるには大切な作業となります。

そして、ろ過したものをメジャーカップ等で瓶に入れて蓋を取り付けます。最後にラベルを貼って完成です!

ラー油の作り方についてあまり知識の無い私が何となくイメージしていたのは油を熱し、そこに唐辛子をくぐらせて作るものだと思っておりました。なので、時間をかけて辛みをじっくり抽出して作る今回の工程は意外でした。自然に任せてじっくりと時間をかけて辛味を抽出してつくる今回の工程は味に深みが出るようで、なんだかとても美味しそうです。

個人的に辛いものが大好きなので、辛みが強く香りも良い島唐辛子は食卓の料理を引き立てる名脇役として日々活躍しています。
そんな伊豆大島の島唐辛子の美味しさや魅力を多くの人に知ってほしく、引き続き島唐辛子と向き合っていきたいと思います。

今回の講座を企画・運営いただいた大島高校関係者の皆さま、ありがとうございました。

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べっこう

伊豆諸島の郷土料理として知られているべっこう。
唐辛子醤油につけた魚の切り身が、つややかなべっ甲色になるためそう呼ばれる。旬の魚を島とうがらし醤油に漬ける。それは先人たちが離島という環境のなかで考え出した保存食でもあるのです。

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Data

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〒100-0101
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TEL:04992-2-1431
osima-h.metro.tokyo.jp

Tsutomu Chiba writer
Tsutomu Chiba
 

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