さよならの季節

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はじめに

こんにちは!関西出身のグルメ大好き女子“のえ”がお送りする連載エッセイ「OshiMaっ娘だより」です。

「OshiMaっ娘だより」は着任中の大島のことを私独自の視点で自由にご紹介していきます!一緒に大島を楽しんでくれたら嬉しいです。

3月といえば、お別れの季節。今回は「さよならの季節」をお送りします。どうぞお楽しみください♫

今回写真を撮ることを忘れてしまったので写真はすべてイメージ画像になります、ごめんなさい!

さよならの季節

赴任してきて1年。私にもお別れの季節がやってきました。
私は昨年3月に大島に来たので流石に1ヶ月でお別れをするような知り合いはできず、1年前は見送る人はいませんでした。

1年経った今、私は大島でバドミントンをしているのですが、そこで知り合った方が転勤のために島を出る事になりました。

たまたま休みだったので、バド仲間と一緒に岡田港までお見送りをしてきました。

港は送る人、送られる人で人がごった返し。
バド仲間で夫婦を探します。
これはきっとウォーリーを探すより難しかった。

すると、一緒に来ていたバド仲間のたーさんがおもむろにバックから袋を取り出しました。

「ん?それは何ですか??」

「知らない?大島名物“かしゃんば”だよ。2人に持たせようと思って。」

ちらっと包み紙の横から覗き見。
いわゆるよもぎもちみたい。

「明日葉…じゃないですよね?流石に(笑)」
なんて少しガチで期待しながら言ったら緩めに「違うよ」にっこり。とされました。
残念。


※画像はイメージです(そもそも季節が違いますね…)

さて、私とご夫婦の関係ですが、2人はご夫婦でバドミントンに来られている方で、旦那さんとは少年剣道でもお世話になっていました。

やっと見つけた旦那さんの周りにはいつもは凛々しい少年剣士達がどこか元気なさげにただずんでいました。学校を早退して見送りにきたみたい。
島あるある。

そして私も一言ご挨拶に。
その隣では奥さんが号泣されていて、ご夫婦がいらした3年間はきっと充実した島ぐらしだったんだろうなと感じました。

ご夫婦にはもちろんバド仲間以外にもお見送りされる方がいるので、挨拶は軽めにして、東京行きジェット船の傍まで足を運びます。

私が見送るのはこの2人だけでしたが、船に乗り込む橋を人が渡るたびに四方八方から手が伸び、名前が聞こえてきます。ご夫婦以外にもたくさんの人が見送られ、その人にはその人の島ぐらしがあったんだなーと思いながら私も一緒に見送る気持ちで見ていました。


※画像はイメージです(実際は見送りに精一杯で、写真撮るどころじゃなかった…)

1年後には私も島を出る立場になるのかぁ、
早いなぁ…なんて思っていたらもう船は出発の時間に。
ジェット船はシートベルト着用の義務があるので窓際まで人が詰め寄ることはできません。
こちらからは夫婦の姿が確認できませんでしたが、船がしっぽを向けるまでは手を振り続けました。
ありがとう、頑張るね、頑張ってね。
きっと島に残っている人みんなそう思っているだろうな。そうだといいな。

夫婦は偶然にも「友」と名付けられたジェット船に乗って旅立って行きました。

手を振り終わって振り返ると、たーさんが私の顔を見て「あー、泣いてるー」と微笑みます。
「もう私無理ですよっ、見送られる側になったらあれくらい号泣します!!」

一緒にきていたもう1人のバド仲間のあまのっちが漏らします。
「でもジェット船だとあっけないんだよなぁ、早いしなぁ」


※画像はイメージです

そう。大島から出る船にはジェット船と大型船があります。
大型船で船を出る場合は、甲板に出ることができるので最後まで顔を見て手を振ることができます。
さらに、島ならではの行事として、紙テープをもたせます。
見送られる側が紙テープを船から陸に渡し、船が出港するとどんどん自分の持っている紙テープが伸ばさて最後にはテープが切れて手の内からなくなる。つまり「お別れ」を意味する行事。
島と自分をつなぐテープがどんどん手のひらからなくなる様を想像したらそれだけで悲しくなりますね。
だけどせっかく島に住んだのだから私は大型船で島を出たい!紙テープ持ちたい!

「たーさん、私、大型船で島をでます!!」

するとたーさん。

「紙テープ、準備しといてね。」

「えええ!違くない!?用意してくれるんじゃないんですか!!!」

たーさんにやにや。

「大丈夫、のえちゃんが島出るときにはあまのっちと2人で見送ってあげるから。」

「えっ私出るとき2人ですかっ十分嬉しいけどなんか寂しいです!」

なんてまだまだ先(だと思いたい)の未来を想像しながら帰路についたのでした。

after talk@帰りのあまのっちの車内にて

私「でも紙テープ、たくさん持ちたいなぁ、2人しか見送る人がいなくて2本だけって寂しくないですかー?←まだたーさんの言葉を引きずってる」

あまのっち「うんまぁねー、でも俺紙テープ持ったことないからなぁ。笑」

私「え!そんなもんなんですか!手から紙テープがなくなっていくのを想像したら既に泣けません?!」

あまのっち「見送られた事がないからわかんねぇ。はっはっは!でも紙テープもそんな100メートルも200メートルもないから、紙テープなくなったところで顔全然肉眼で見れるよ。笑」

私「えっそうなんですか!?紙テープだけが最後のつなかと思ってました!」

一年後、仮に紙テープを持ったとしてもお世話になった人の顔を焼き付けるのに必死で手元の紙なんて意識せずとも手から離れて行っちゃうんだろうな、と思った私でした。

Noe writer
Noe

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