さよならの季節(自分編)

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はじめに

こんにちは!関西出身のグルメ大好き女子“のえ”がお送りする連載エッセイ「OshiMaっ娘だより」です。

「OshiMaっ娘だより」は勤務経験もある伊豆大島のことを私独自の視点で自由にご紹介していきます!一緒に大島を楽しんでくれたら嬉しいです。

今回は、「ついにこの日が…。」はい、ついに大島を離れる日が来てしまいました。「さよならの季節(自分編)」をお届けします。

さよならの季節(自分編)

先日、転勤の関係で大島を出ることになりました。
1年4ヶ月というあっという間の島生活でした。

以前の記事でも言っていた私のワガママで、離島は大型船を選びました。

「テープを持ちたい!だから大型船に乗ります!」

これ、浅はかに言っちゃダメなやつです。笑
経験したから分かるけど、最後までみんなが見えるんです。小さくなってみんなが見えなくなるまで。

あいにくの強風曇天の当日。さるびあ丸が接岸するのを、乗船の列に並んで待っている間、このまま接岸せずに東京行っちゃえばいいのにって何度も思いましたが流石のさるびあ丸。強風にも強いです。
私の祈りもむなしく、きっぷを切りに行きました。もうこの時点で涙をこらえきれず、みんなの方を見れません。

乗船し、すぐにデッキへ向かうように教えてもらったので、みんながいるところの近くに向かいました。
都合が合わなくて、来れなかった人もいたけどそれでもたくさんの人が見送りに港まで来てくれました。本当に感謝の気持ちしかありません。

バドミントン仲間、少年剣道の子達とそのお父さんお母さん。島でできたお友達やウェブ記事を一緒に作ってくれている千葉夫妻など。

みんなが持ってきてくれたテープが1束になって渡されました。
一本一本のテープの先には、その人との思い出が詰まっている気がしました。
出航するまでの間に一人一人の顔をできるだけ見てそのエピソードを思い返していたらまた涙が止まらなくなりました。

この日は強風だったせいもあって、テープが島側にぐいっと引っぱられました。
手の力を抜いたらすぐに離れてしまいそうなくらい。
ギュッと握りしめて、同時にテープを伝ってみんなにありがとうの気持ちが伝わればいいなって思いました。

少しずつ、船が岸から離れ始めました。
みんなの手元にあるテープがシュルシュルと伸びていきます。
少年剣道の子達がせーのっ!でせんせいありがとう!と言ったのでまた涙が溢れてしまいました。

あっという間にテープの長さと岸と船の距離が同じになって、みんなの手元からテープがなくなりました。
私が持っているテープの先は風に乗って宙に舞い、さっきまで引っ張られていた重さがふわっと軽くなりました。
テープはまもなく船員さんに回収されたので、離れていくみんなに向かってただひたすら手を振りました。

人ってほんとに最後の時はなにも言えないもので、ほとんど無言で必死で手を振ることしかできませんでした。

少年剣道の子達が集団で桟橋の先まで走ってきてくれたので、思い切って、「剣道がんばれよーーー!」って大きな声で叫んでみました。

聞こえたかな?って思う間もなく、
「はーーーい!」という元気な返事が返ってきて、嬉しいと同時に安心しました。

私の声がちゃんと届いていて、彼らも受け止めてくれた気がしたからです。

桟橋の端っこまで来てくれた人は本当に最後の最後まで見えて、出来るだけ一生懸命手を振りました。
だけど、強風と潮の危険性もあって、まだみんながわずかに見えるうちにデッキから中に入るようにと指示がありました。

誰かに中に入るように言われなかったら多分、島が見えなくなるまでデッキに居ついてしまったかもしれません。それくらい大島は大きいのです。

離島前に、日曜日に大型船で離島するよって剣士達に伝えたら
離島する日は平日にしないとぼくたち学校休めないじゃーん!先生それは早く言ってくれないとー!と、言われたのを思い出してクスッと笑ってしまいました。
休日でも小学生は親の足がないと港までこれません。多くの子供達がこうやってきてくれたのも親御さんのおかげです。
とてもありがたいことだと改めて思いました。

また大島に来て、抜き打ちで彼らに会いにくる!

after talk@さるびあ丸

みんなが見えなくなるまでの間に少しは落ち着いたところで、そばに置いていた荷物を取りに行くと、ひとりのおばさんに声をかけられました。

「あなたは、小学校の先生だったの?」

「いえ、島で少年剣道を教えていました。」

「あら、そうなの、いい先生だったのね。あんなにたくさんの人に見送られて。」

「ありがとうございます。ほんとに嬉しいことです。」

「私も見ていて思わず泣けてきちゃったわ。島には長いこといらっしゃったの?」

「いえ、1年4ヶ月でした。」

「短かったのねぇ、向こうに行っても頑張ってね」

「はい、ありがとうございます。」

終始ほろ泣きでの会話だったので暗い感じに書いてしまいましたが、実際は泣き笑い。悲しいより、みんながこうやって送り出してくれたことがなにより嬉しくてほとんど嬉し泣きでした。

生活という面ではもう来ることはなくなるのですが、今度は島外からの旅行人として来ようと思います。

まだまだ未開拓の大島。
沢山の宿題を残して離島となりました。

これからもいろんな形で大島を発信していけたらいいなと思います。
引き続き、よろしくおねがいします。

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